『柳生武芸帳・夜ざくら秘剣』

近衛十四郎主演で2本、ニュー東映で作られた「柳生武芸帳」シリーズ。脚本は結束信二、監督井澤雅彦で、非常に快適に話が進むのはさすがである。

               

柳生の里の柳生氏の家から秘伝の武芸帳が盗まれる。冒険小説のパターンは、秘宝が盗まれて、というものが多いが、これも同じである。

江戸に来てもいろいろと争いが起こるが、最後は山城新伍の家光の前で、酒宴が開かれ、踊りが披露されて近衛の最大の見せ場のチャンバラへと続く。

中で一番の悪人が、阿波地大輔という俳優らしいが、一目で見て悪役と分かるのは非常に良く、見るか観客への手厚いサービスである。

『旗本退屈男』でも必ず酒宴での唄と踊りになり、「こんなっことあったの」と思われるかもしれない。

だが、渡辺保先生の『江戸演劇史』には、豊臣秀吉が歌舞伎を見たという記述があるので、まんざら嘘でもないようだ。

ただ、家康は歌舞伎がお好みではなく、能の方が好きだったとのこと。

この洋楽で日本舞踊を踊るのを舞台で始めたのは、長谷川一夫の東京宝塚劇場公演「長谷川歌舞伎」が日本で最初で、歌舞伎芝居でスポットライトの照明をしたのも、長谷川の地方公演が初めだったとのこと。

長谷川一夫は、日本の演劇、映画に多大な貢献をなされていたのである。

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