持ち帰り票の実例

持ち帰り票について、実際に私が経験したことを書いておく。

1990年代のことで、私はある区にいた。期日前投票(当時は不在者投票)の担当をやっていて、その夜、結果を集計すると、一つだけ投票数の少ないのがあった。

それは、統一地方選だったが、横浜市では、飛鳥田一雄市長が社会党委員長になるために任期途中で辞職したので、県知事、県議会議員、横浜市会議員の選挙だった。

それは今も同じであるが、中田宏が夏に辞職したので、今では夏に横浜市長選挙が行われる。

その日は土曜日で、期日前投票の会場の会議室はかなり混んでいた。

そして夕方に終わり、明日の投票日に備えて様々な事務を行う傍らで、この日の期日前投票の集計もやっていた。

担当課長が、「どうしても県議会議員の投票数だけ1票たりない」という。

知事、市会議員は全部総入場者数等とぴったり合っているが、など数えても県議会議員の投票数が足りないとううのだ。

そのとき、私は一人の女性を思い出した。電話でいろいろと話していて、会場をうろうろして出て行ってしまったのだ。

結論は非常に簡単だった。

「その区では、公明党が県議会議員を出していなかった」のである。

だから、その女性は、知事と市会議員選挙は記名して投票したが、県議会は公明党の議員がいなかったので、票をもらったまま持ち帰ってしまったのである。

そこで、私たちは、投票者名簿からその女性を割り出し、その投票所に、明日この人が来ても投票させなうようにし、二重投票がないように連絡した。

               

さて、この「持ち帰り票」だが、古い人に聞くと、「これで非常に楽になった」という。

昔は、この「持ち帰りと思われる票」というのが認められていなかったので、投票総数と開票総数は完全に合っていないと大変だったそうだ。

そこで、開票担当職員は、常に白票を持っていて、適当に混ぜていたというのだ。

そうしないと投票総数と開票総数が合わないからである。下手すると投票総数を上回ることもあり、その加減が大変だったそうである。

今は、「持ち帰りと思われる票」というのが法的に認められているので、そこで数を計算し調整することになっている。

今は昔の話である。

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