『激怒する牡牛』

これは非常に不思議な映画で、1955年に新理研映画社で作られて新東宝で『激怒する牡牛』の題名で公開されたが、翌年に『虹の谷』の名で新東宝で再公開されたが、内容は同じのようだ。今回は、下村さんが持っている『激怒する牡牛』の16ミリ版での上映で、多少ピントがずれるところがあったが。

監督は吉村廉と古賀聖人で、劇部分は吉村で、記録的部分は古賀らしいが、脚本が八木保太郎なので、非常に上手くできている。共同製作が第一協団なので、河津清三郎、菅井井一郎の他、石黒達也が悪役で出ているのがうれしい。私は彼のファンで、石黒は憎々しい悪役が最高で、大映の時代劇によく出ているのでご存知方も多いだろう。

話は、牛山師という牛を使って木材等を運搬する職人達のことで、若者の月田昌也が主人公で、家で生まれた牡牛を使って運搬に従事する。

中で、何頭かの牛を繋いで最重量物を運ぶことがあり、石黒の牛を差し置いて月田の牛が首領となり、石黒は怒って月田とその牡牛を敵視するが、逆に牡牛に刺されて負傷してしまう。牛山師の掟で、祖父の菅井から月田は、処払いを宣告されてしまい、月田は牛と一緒に九州の山中をさすらい、そして人吉で親方の深見泰三の下で職に就き、大きな成果を挙げる。

最後は、石黒らが起こした川の洪水で、月田と牛が溺れそうになる。だが、牛の力と最後は改心した石黒らの力で、月田と牡牛は救われる。

左幸子が人吉の娘で出てくるが、結構かわいかった。

松本俊夫のインタビューでは、新理研映画社の社長は、中崎敏という社会党右派の衆議院議員も兼ねた男で、最低な奴と書いてあったので心配したが、意外にもいい出来で安心した。

シネマヴェーラ渋谷

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする