「自己責任論」への疑問

安田純平氏が帰国してきて、またぞろ「自己責任論」である。戦前、戦中の「非国民、国賊」とは、こういうものだったのだなと思う。

彼は、フリーのジャーナリストだが、歴史をたどれば、日本にも「非国民」の外交官がいたことが分かる。

リトアニアで多数のユダヤ人にビザを出し現在は「東洋のシンドラー」として称賛されている、杉原千畝氏である。

彼は、外務省の訓令に反し、人道的立場からユダヤ人へのビザ発給を行った。

当時、日本はドイツ、イタリアと三国同盟だったので、日本はヒトラーのユダヤ人対策に追従しユダヤ人には極めて冷酷だった。

だが、この三国同盟は、なんの意味もなく、日中戦争中には、ドイツは国民党側に軍事顧問団を送っていたのだから、まるで馬鹿みたいな同盟だった。

当時、杉原氏の行為は、日本国内でほとんど知られることはなかったが、もし公になっていれば、これも「非国民、国賊」と強く非難されただろうと思う。

今回の安田氏の問題も非常に複雑で、元はシリアの反アサド政権側の都市と市民を取材していた安田氏が、なぜイスラム過激派に監禁されるようになったのかかはよく分からない。

シリアの反アサド政権側は、100以上の集団があり、中心は、シリアの反アサド政権のトルコやカタールの集団とのこと。だから今回、カタールが身代金を払ったというのも、反アサド政権からの動きで、テロリストに金を払ったというのも当たらず、むしろそれはシリアとトルコ、カタールの関係の問題である。

いずれにしても、この問題の意味が明確になるには、やはり時間が必要になると思う。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする