『キューポラのある街』は、監督デビューの浦山桐郎作品で、キネマ旬報で2位になるほど高く評価された。
確かに、貧乏物語にしては、様々なエピソードが豊富で面白いのは、脚本の今村昌平の力だと思う。
また、ここでは北朝鮮への帰還運動が出ていて、問題だとネット右翼が騒いでいるようだ。
だが、北朝鮮帰還運動の主体は、日本赤十字社であることに象徴されるように、政府・自民党も賛成だったのである。
理由は、二つあり、生活保護世帯など日本経済にとって負担となる連中は追放してしまえと、日本共産党の中には北朝鮮系の党員がいて、1950年代のメーデー事件等を起こしていた。こんな連中がいなくなれば、日本の治安にとって良いというのだ。
さて、この『キューポラのある街』には、大きな嘘がある。
それは、1962年に、川口にはキューポラはなかったそうで、仕方ないので、美術が作ったというのだ。
当時の日活の力を示すものだろうと思う。
また、音楽が黛敏郎で、抒情性とダイナミックな響きが混在していて素晴らしい。
コメント
下記サイトをみると、2011年時点でキューポラが残っているようですが?
https://tokyodeep.info/kawaguchi/
たとえあったとしても、町全体が鋳物の街ではなく、マンションの町になっているのが今の川口だと思います。
>大きな嘘がある。それは、1962年に、川口にはキューポラはなかったそうで、仕方ないので、美術が作ったというのだ。
私が言いたいのは、「大きな嘘がある」は大きな嘘だということです。
美術が作ったとしたら、単に、映画の絵になるようなキューポラが無かったということでしょう。