『隠し砦の三悪人』

BSの放送を録画するために見始めると、やはり面白くて最後まで見てしまう。
黒澤明映画で一番面白いのではないか。
終わり近く、火祭りでの踊りの音楽、衣装、振付も最高に面白い。
三船敏郎も日劇ダンシング・チームと一緒に踊るのだから、最高である。
これは、戦前のマキノ雅弘のミュージカル『鴛鴦歌合戦』での志村喬の歌と並ぶ意外さの好例だろう。
これが、『スター・ウォーズ』のキャラクターのヒントになったのはあまりにも有名だが、確かに良くできている。
次から次へと難題が起き、それを偶然というか、幸運が解決してゆく。まさに娯楽アクションの王道だが。
黒澤明の作品の中では、この『隠し砦の三悪人』と『虎の尾を踏む男たち』が好きなのだが、考えるとどちらも単純娯楽で、アクションあり、音楽ありだからだろう。

黒澤明の本質は、こうした単純娯楽作品にあり、戦前の『姿三四郎』などが、典型だと思う。
それが、なぜ戦後ヒューマニズムや人間の本質などという重いテーマに変化したか、これは私の大テーマである。

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コメント

  1. hitoon より:

    隠し砦
    黒澤フリークを自認するものです。
    リメーク版を観ましたが、黒澤映画の緊張感は出せないと思いました。
    「裏切り御免」という下りが大好きです。あの田所兵衛という人物が、戦国時代はたくさんいたのだなとおもう。そのあと、徳川時代から現代にかけて「忠義」とかいわれ、日本人は改革ができない民族になってしまった。
    黒澤映画が人気あるのは、登場人物が自由闊達なところ、権力におもねるところがないところです。
    それの上に乗っているので、娯楽作品が面白いと思います。