『COMPLICIT』

『CONPLICIT』(共謀という意味)という新作のワールド・プレミアをリチャード・ドレファス(映画『未知との遭遇』『グッバイ・ガール』等の主演)主演でロンドンでやっていると知ったのは、機内の英紙「ガーディアン」の劇場欄だった。
到着の日の夜は、疲労できついと思い、二日目に見る。

劇場は、ワーテルロー駅近くのオールド・ビック劇場。
中に入ると舞台が中央にあって回り全部を囲むように席が特設されている。
去年、宮沢りえ主演、デビット・ルボー演出の『人形の家』の装置のような、近年多い「リングサイド式」のセットである。私は、その普段は舞台の、特設された席だった。

話は、政府の不正行為を暴露した主人公でジャーナリストのドレファスが、大陪審の前後に弁護士、さらに妻のエリザベス・マクガバンと議論しあうもの。
個々の台詞は分かるが、そこで何が進行しているのかが、全く分からない。
分からないままに1幕は終わり、休憩を挟み2幕目も、そのまま終わってしまう。

20年前に、やはりロンドンでゴア・ビダル脚本、バーネッサ・レッドグレーブ主演の『マッドマン・イン・ゴア』という劇を見たが、これが全編ブラック・ユーモアで全く理解できなかった。
今回は、推理、対話劇なので少しは分かるかと思ったが、やはり甘かった。
新入幕力士が、横綱に初挑戦して相手にされなかったようなものだろうと、諦める。
だが、翌日、コベント・ガーデンのノベロ劇場でロイヤル・シェークスピア・カンパニーの『夏の夜の夢』を見た。
幕間、隣の女性に聞くと、「あれは私は大嫌いな芝居だ。それに全体を30分もカットしてあるので、ネイティブでない人には難しいだろう」とのこと。
少し、安心した。
それにしても、役者が上手い。
また、演出がケビン・スペイシーなのだが、彼って役者だが演出もやるんだね、知らなかった。

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