森下愛子も持っていた

渋谷のシネマ・ヴェーラの東映セントラルフィルム特集で,内藤誠監督の1979年作品の『十代・恵子の場合』を見た。
これは、当時『サード』の美少女ヌードで鮮烈な印象を与え、人気の森下愛子が、渋谷のチンピラ三浦洋一と出会い、裕福な家のお嬢様女子高生から売春婦へと転落して行く物語である。
彼女が「パー券」を消化するため、早稲田の古本屋に本を売りに行く。
その店員が風間杜夫で、最後に彼と北国の町で偶然で再会し、森下を救い出してくれるのだが。
そのとき売る自分の本が、寺山修司の『書を捨てよ町に出よう』などなのには、笑ってしまった。
寺山の言うとおり、森下は家出してやくざと同棲しするが、お定まりの「転落の詩集」で、最後はシャブ漬けのトルコ嬢になってしまう。

あるいは、この映画は、寺山の言うとおり「町に出ると」とんでもないこともあるよ、という監督内藤誠の、寺山修司への批判だったのかもしれない。

この黒澤満がプロデューサーとして活躍した東映セントラルフィルムは、日活ロマンポルノとピンク映画の中間くらいのレベルの作品を作ったと思う。
事実、この内藤作品のスタッフの多くはピンク系で、キャストの多くは日活系だったようだ。

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