キリストの生涯を描く大作で、3時間を越えるものなので、封切り時以外で見たはずはない。3時間では、名画座では上映のしようがない。
キリスト役は、スエーデン出身の役者マックス・フォン・シドー、本来地中海世界の人間のキリストを北欧のシドーが演じるのは変だが、実にぴったりの風貌である。
生まれから、死までをほぼ新約聖書の記述に忠実に再現している。画面も有名絵画の構図にそっくりで、「泰西名画」である。
偉大なと言うには、非キリスト教徒の私としては違和感があるが、きわめてドラマチックな一生であることは間違いない。
ユダがなんと、『ナポレオン・ソロ』のイリヤこと、デビット・マッカラムだったのは、まさに「恐れ入りや」だった。
音楽も、バッハの『マタイ受難曲』にかなり似た響きがする。