児玉清の発奮相手は・・・

今や、俳優と言うより書評家になった児玉清だが、彼は若いとき東宝の役者で、「自分の方が絶対に上手いのに主演をさせてくれず、いつも腐っていた」と書いているが、その彼より下手で腐らせた役者が分かった。
稲垣隆君である。
確かに、背も高く、顔も外人のようだが、台詞が全くだめ。
児玉清の気持ちが良く分かった。

阿佐ヶ谷ラピュタの「星由里子特集」の『BG物語・二十歳の設計』。
兄の船戸順と同じ電気会社に就職した星由里子は、営業部員で実は専務松村龍雄の息子の、遊び人の稲垣隆に強引にプロポーズされる。
彼は、元女子社員北あけみとも関係があり、堕胎もさせた悪い奴であるが、主役。
だが、台詞がすごい。
これほど下手な役者は、高校演劇にもいないだろう。
児玉清が頭に来たのも良く分かる。
だが彼も、大株主の御曹司で、ピアノを弾いている作曲家志望の青年、星にプロポーズするが、ただの引き立て役である。

船戸は、同僚の浜美枝と、船戸を本当は好きだった水野久美は、前から星由里子を口説いていたが相手にされず、偶然から恋仲になった同僚の江原達よしと結婚する。
児玉の妹役の藤山陽子の美貌が圧倒的。
星由里子、水野久美も目じゃない。藤山だけ後光が指しているようだった。
最後、稲垣は大阪に行き、そこには星由里子の差し金で北あけみも同行していたのだった。

星は言う、「私はまだ二十歳なのだ。まだ、これから自分の人生設計をする」と。
昔、内藤洋子主演の『華麗なる闘い』で、岸恵子、田村正和に敗れた彼女は言う。
「まだ、私は仮縫いが終わったばかりなのだ」
この初めて、半裸姿も披露した作品の後、内藤洋子は突然引退してしまい、満都の少年を悲しませるのだ。

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