JASRACが開催してきたミュージック・ジャンクションが30回を迎えた記念として「ワールドミュージック特別編」が行われた。
前日からの大雪なので、「実施するのか」北中正和さんのところに電話すると、「やります。今リハーサルしています」とのこと。
3時過ぎに出たが、電車が遅れて会場についたのは5時すぎで、北中さんが、ピーター・バラカンさんと冒頭のトークをしているところ。
最初はアイリッシュ音楽の、ジョン・ジョン・フェステイバル。
もちろん、全員日本人だが、それぞれの機会でアイルランド、ケルト音楽の魅力につかれた若者たち。
ケルト音楽は、非常にわれわれに親しみやすく、リーダーの女性ジョンが歌ったバラード風の曲などは、まるで演歌で、坂本冬美が歌えば最高と思ったくらいだ。
次は、アラブ古典音楽の第一人者常味裕司さんで、ウードによる古典曲はさすがで、ウードの音の深さに改めて感動した。
実は、ウードについては、私は独身時代に青山のアンテークショップで1万円くらいで買って持っていた事がある。
店の人の話だと、アゼルバイジャンあたりの人間が売ってきたのだという。
もちろん、弾けないので、適当に置いておいたが、きちんと管理しておけばと思った。
常味さんは、非常に強く弦を張っているようで、大変に力強い音である。
休憩後のブラジルを中心としたsaigennjiさんについては、以前目黒のパーシモンホールで、菊池成孔のイベントの時に見て、やや軽薄な感じがしたが、ここでは神妙に歌い、演奏した。この人は、観衆によって音楽のタイプを変える器用な人だと思った。最後は、日本のアイヌの、OKIとMAREWREW。 OKIは、アイヌの伝統楽器トンコリの奏者で、MAREWREWは、女性4人のコーラスである。OKIのトンコリと自嘲的な喋りも実にユーモアと皮肉があって面白かった。
MAREWREWは、アイヌの伝統的な曲を輪唱で披露したが、これは完全にトランス・ミュージックだった。
恐らく、明治までは祭儀等で、参加者は、大麻等を吸引しながら、非日常の世界へと陶酔していったに違いないと思わせた。
戦前くらいまでは、東北のお百姓さんたちは、日々の疲れを取るため、自生している大麻を吸引していたものだと聞いたことがあるが、多分本当だろう。
当日、ストリーミングで配信していたが、その書き込みでも「トランスだ」との声が多かったそうだ。
久しぶりに、世界の多様な音楽を一度に聴き、かつてのウォーマッド横浜を思い出した。
イイノ・ホール