鶴見区市民ミュージカルで、今回が5回目だそうだが、私は去年に続き2回目。
前回は、JRの鶴見線を題材にした『街角の詩』だったが、今回は昔は鶴見にもあった氷作り場と沖縄から来た少女の話。
冬場の氷作りは、横浜の各地にあり、鶴見区矢向の生まれだった私の母は、「百姓の小遣い稼ぎに冬場に田んぼでよくやったものだ」と言っていた。
磯子に氷取沢という地名があるが、これも氷を作っていたことに因むもの。
地球温暖化の今日、自然に屋外で氷が作れるなどと言うと信じられないが、昔は本当に寒かったのだ。
雪はともかく、霜や霜柱を見なくって本当に久しい。
寒かったと言えば、この劇の歌唱は、大変言いにくいがかなりお寒いものだった。
特に主人公の沖縄から来た少女は、ほとんどキーがずれていて、唄を楽しむことが出来なかった。
音楽がテープなので、役者も大変だったと思うが。
生バンドなら、テンポ、時にはキーも合わすことが出来ただろう。この次は、緑区のように多少予算は掛かるかもしれないが、是非生バンドでやって欲しい。
また、脇役の労働者の親父さんの曲は、ブルース・スプリングスティーのようで、地上げ屋の二人の曲と同様、一番良かった。
話は、元氷場だった場所が地上げに会うが、地域の人、沖縄の少女、さらに昔の子供のなどの協力で、地上げ屋は去り、氷場が地域遺産として保存されると言うもの。
市民ミュージカルと言うと、どうしても奇麗事から抜け出せないが、こうした脇の「悪役」の面白さがあると、ドラマとして平板にならず、立体的になる。
横浜では、開港150周年もあり、各区で市民ミュージカルが、行われている。
蜷川幸雄の『コースト・オブ・ユートピア』も素晴らしいが、こうした市民劇でも優れた成果が出てくることを強く期待したい。