戦後の昭和23,4年頃、東宝では、大ストライキが行われ、多数の民主主義賛美映画が作られた。
その頃、その一人の山本嘉次郎に向かい、先日なくなられた助監督の松林宗恵が聞いた。
「戦時中、『ハワイ・マレー沖海戦』等の戦意高揚映画を作った監督が、これはまずいんじゃないでしょうか」
そのとき、山本嘉次郎は、次のように答えたと言う。
「新聞記者と映画監督は、オポチュニストでいいんじゃないかね」
山本嘉次郎の一種の韜晦であろうが、多分本音でもあろう。
マスコミなど、常に時代に追従するしかない存在なのだ。