戦後、大映で作られた「狸御殿シリーズ」は何本か見ているが、昭和17年に制作された一作目である。
主演は、高山広子と男装の宮城千賀子。
その他、『どうじやねぇ元気かね』の楠木繁夫、元あきれたボーイズの益田喜頓など。
物語は、明らかに『シンデレレラ』だが、筋に細かい工夫があり、感心する。
監督の木村恵吾は、画面を常に変化させていて、飽きさせない。
戦時下、この「愚劣な作品」は、大ヒットしたが、その意味は、この映画が持っている楽しさだろう。
主人公のシンデレラ・ストリーの夢は勿論、周りのレビュー・ダンサー達で醸し出す、楽しさである。多分、戦時下の苦しい生活の中で、それを一瞬忘れさせてくれるときを、提出できたのだろう。
「狸御殿シリーズ」の最後は、昭和40年の西郷輝彦と高田美和の『狸穴町0番地』だが、これを見た高校生のとき、高田美和の網タイツ姿には、興奮しましたね。