地下鉄サリン事件と片岡仁左衛門

先月の3月20日は、地下鉄サリン事件の20周年目だった。あの日の午後、私は銀座にいた。

片岡孝夫の、15代目片岡仁左衛門襲名披露公演『道明寺』が行われていた。
『道明寺』は。『菅原伝授手習鑑』の中の重要な場面だが、演じられることの大変少ない演目で、襲名興行で特にやると言うので、月曜日の午後、仕事をさぼって見に行った。
菅原道真が、藤原時平の追求の難を逃れるため、木像を作り、それで本人とすり替えて逃げる、一種の夢幻劇的趣向の芝居である。

仁左衛門の芝居に満足して歌舞伎座の外に出て、銀座を歩くと電気屋の前のテレビが、大惨事が報じられていた。
ただ、まだそのときは事件なのか、事故なのか、はっきりしていず、多数の死傷者が出たというだけの報道だった。
帰るため銀座から地下鉄で新橋に行くため、階段を下りたとき、一瞬恐怖感をおぼえたことを今でも憶えている。
この年の1月には、阪神淡路大震災もあったのだが、もう15年前のことになるのか。

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