「桜が咲いて、冬でした」

そして、「とっても好き いつかあの人 おぼえてた」と続く。

矢代静一の戯曲『黒の悲劇』の台詞だが、この時期になると、いつも思い出す。
桜が咲いて冬とはおかしいが、これが矢代特有のアイロニーである。
矢代は、日本の劇作家では、1960年代に最も人気のあった一人だった。
実際に、私たちも2年の時に上演した。
到底上手くできたとは思えないが、戯曲の持つ抒情性には自分たちでやっていながら、感動した。

矢代は、その後の若い劇作家に大きな影響を与えている。
別役実、唐十郎、つかこうへいらである。
今の演劇をやっている若者は、果たして矢代静一を読んでいるのだろうか。

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