4月30日に、フィルム・センターで石原慎太郎監督の『若い獣』を見た後、家に戻り、翌日起きて、ある文章を修正し、用があったので外出して戻り、再びパソコンを見ようとするが、まったく動かない。
起動できずで、富士通に連絡するが、どうにもならず、結局再インストールする。
と、今度はインターネットがまったく接続できなくなる。
その後、プロバイダーや回線業者に様々に連絡して、今夜やっと回復する。
この間、1週間。
『若い獣』は、原作・脚本・監督が石原慎太郎で、この最後の「監督」が当時大問題になった。
当時、東宝には、助監督が戦前から多数いて、戦後の大争議の影響などで、ほとんどが監督昇任していなかった。
「われわれが、まだ監督昇任できないのに、なぜ外部から素人を監督にするのか!」
と大問題、大反対になった。
48人助監督がいたそうで、全員の辞表が提出される。
そこで、藤本真澄重役が助監督会と協議の結果、
「今後外部から新人監督を使う場合は、内部からも1人新人を登用する」
とのことで助監督会も了解する。
こうして、石原慎太郎監督と引き換えに岡本喜八が監督昇任する。
この後、助監督会の反対の中心だった恩地日出夫も、「ああいううるさいのは監督にしてしまおう」とのことで、異例の20代での監督になる。
いずれにしても大問題のあった石原慎太郎監督作品だが、前段で大騒ぎがあった性か、ひどく大人しい作品になっている。その意味では、生意気な慎太郎らしさがまったくない。
久保明のボクサーが、新人王戦で頭角を現すが、ジムのオーナーの河津清三郎には、許婚の団玲子も奪われ、さらにさまざまな策略で、最後は決勝戦で負け、負傷から廃人になってしまう。
ボクシング・シーンが類例ではないほど、迫力があったそうだが、今見ると普通にすぎない。
タイトルには、矢尾板等の名があり、プロ・ボクサーが協力している。
筋は陳腐で、いったいなんでこんな映画を石原慎太郎が作ったのか、きわめて不思議。
主人公の久保明は、石原慎太郎がもっとも嫌悪する「負け犬」で、どこにも感情移入できないに違いない。
作者たちが、感情移入できない映画に、見るものが感動できるわけがない。
フィルム・センター