神のいない3年間とは、日本がフィリピンを占領・支配した3年間のこと。
フィリピン人と日本人との混血の日本人将校とできてしまったフィリピン女性の悲劇。
そんな人がいたとは思えないが、映画なので良い。
1970年代に作られたカラー映画だが、ネガが失われ、プリントも退色してほとんどモノクロ状態のものを、福岡市総合図書館がプリントからデュープして再生したとのこと。
女優は有名らしい。
全体にのんびりした映画だが、悪くはない。
詠嘆調の主題歌も効果的。
時々にニュースフィルムが挿入される。
最後、アメリカ軍の猛反撃で日本は敗退し、日本人将校も女性も殺害されてしまう。
生き残った友人が、神父に聞く。
「この3年間、神はいなかったのですか」
このとき、私が思い出していたのは、多岐川由美が裸になると宣伝して、見に行くと吹き替えで落胆させられた『聖獣学園』である。
その中で、悪役の渡辺文雄は言う。「アウシュビッツで、広島で、神はいたのか! 神は死んだのだ!」と言って学園中の女を強姦しまくるのである。
大笑いだった。
だが、この作品は、実に真面目である。
神父は、教会にいる2人の少年を指して答える。
「あの兄弟は、戦争で兄は盲目に、弟は障害者になった。でも、祈りに来ているのです」
そのとき、蝋燭を捧げ持った群集が教会に入ってくる。
なかなか感動的なラスト・シーンだった。
フィルム・センター