『はだかっ子』

300人劇場の田坂具隆監督特集。2時間20分で、しかも子供(主演伊藤敏孝)を中心の作品だが、退屈しなかった。正攻法の映画の強さ。
昭和36年制作だが、時代は31年。埼玉県所沢の米軍基地のそばの長屋のような公営住宅に住む母子の話。

母は木暮三千代で、戦争で大工だった夫が戦死し、ニコヨン仕事で、一人息子伊藤を育てている。すごい貧乏で、今のアフガニスタンくらい。
階下の家主が大工の三国連太郎・小宮光江夫妻。
その他、菅井きんなど、貧しい住民が多数出て来る。
小学校の先生が有馬稲子。さすがに大変美しい。日本映画史上最高の美女の一人だろう。
伊藤は、体が大きく、短期ですぐに物事に突進する、単純な少年。
その同級生で知的な少年が住田知二、誰あろう風間杜夫。

様々な事件があり、母は再生不良性貧血で死んでしまうが、伊藤少年は友人らと元気に生きていく。

脚本が溝口作品でも知られた成沢昌成で、木暮とチンドン屋の親方千秋実の関係なども面白い。
父は、インドネシアで戦死したのだが、そこに当時西武園に出来たユネスコ村世界の家が出てくる。
私も、埼玉の親戚に行ったときに寄ったが、当時は有名なテーマパークだった。
今見ると、てんでちゃちだが。

伊藤敏孝は、田坂監督に気に入られ、その後『ちいさこべ』の他、東宝でも『青葉繁れる』等にも出ていたが、最近は見ないようだ。
無事芸能界で活躍されているのは、風間杜夫のみであるようだ。
『Always 3丁目の夕日』は、バーチャルな貧乏話だが、これは本当の貧乏話。

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コメント

  1. 下新庄3丁目 より:

    Unknown
    初めて投稿します。近年の安達Y実がその好例ですが、どうも「名子役は大成しない」というジンクスがあると思います。「元太」こと伊藤敏孝もいつの間にか消えてしまったみたいですし。もうひとつ、はだかっ子では「大関」級だった「ひとみ」こと大鐘光子サンはこの一作だけでフェードアウトしてしまったようですが、せっかくいい扱いを受けながらなにがあったのでしょうか。嫉妬からくる嫌がらせなどがあったのか、親の意向か…もし存命なら話を聞いてみたいものです。