10月1日は、5年に一度の国勢調査だった。
言うまでもなく、国勢調査は国の事業だが、実際は市町村が実施し、区役所としては大変な事業だった。
今回は、大都市では郵送方式が主流のようだが、以前は調査員による配布、回収だった。そして、これでプライバシーが侵されるとの苦情が多々あった。「調査員が、中身を見て近所に言いふらす」等々である。
調査員で回収できなかったケースについては、区役所の管理職が訪問してお願いすることになる。
私が担当したのは、駅前の大型団地の住人だった。
行くとドアに「なんとか同和会」のプレートが貼られていた。
ブザーを鳴らして出てきたのは、30代の男だったが、室内では犬が盛んに吠えていた。
当時、団地では犬や猫を飼うことは許されてはいなかったのだから、それだけでもすごい家族である。
私も、一緒に行った女性係長と共に、ともかく書類だけを渡して、「郵送してください」と言って逃げ帰ってきた。
だが、日本の国勢調査は、世界的にも最高水準である。
昭和20年、アメリカは東京、横浜等の大都市を無差別爆撃したが、そのとき一番参考にしたのが、皮肉にも昭和15年の国勢調査だったのである。
米軍は、日本の人口密集地区を爆撃するため、国勢調査に基づき人口メッシュ図を作成し、
東京の下町などの密集地帯に爆弾投下をしたのである。
当初、米軍の対日爆撃は、航空機製造工場等の、軍需工場攻撃の戦略爆撃だった。
ところが、いくら工場を爆撃しても、日本の飛行機製造能力は、米軍が期待したほどには低下しなかった。
今もあるように、日本では町工場で多くの部品が作られていたからである。
それを理由に、ルメイ少将は、日本への無差別爆撃を行うことにした。
私のところにも、先週調査表が来たので、昨日郵送で出しておいた。
皆さんも是非、ご協力をお願いしたい。
今は、米軍の無差別爆撃はないのだから。