塩野七生の『ローマ人の物語』から、シーザーを主人公に斉藤雅文が脚色、栗山民也の演出。
カエサル役は、松本幸四郎、彼を暗殺するブルータスは小沢征悦、幸四郎の妻は水野美紀、愛人役は高橋恵子、哲学者キケロは、渡辺いつけいの豪華キャスト。
さらにクレオパトラ(小島聖)、アントニウスからオクタビアヌスまでの有名人が登場する。
私が、原作を読んでいない性か、細かいところがよく分からず、正直に言って感銘は、薄い。元老院と市民の関係など、よく分からないのだ。
この劇は、約2時間だが、むしろもう1時間くらい足して3時間ぐらいの大作にして、細かいところも劇化した方が面白かったのではないかと思った。
演技を見れば勿論、松本幸四郎はさすがだが、どうして面白くないのだろうか。
それは、幸四郎をはじめ、主役がマイクを使っていることがあると思う。
近年、ミュージカルでは、マイクの使用は常識だが、普通の劇でのマイクの使用は問題である。
第一、幸四郎をはじめ高橋恵子、渡辺いつけいらは、日生劇場クラスの広さでも、十分マイクなしで、十分に演技できると思う。
誰が、マイクを使わないと声が聞こえないか知らないが、マイクの使用は、役者の演技からホットな、力演をなくしている。
だから、マイクなしの脇役の芝居の方が、感情が伝わって来るのである。
まことに皮肉な現象と言うしかない。
さらに脚本で言えば、劇のテーマが散漫でよく分からないのである。
カエサルは、ガリア地方等の他民族を征服したときにも、殺略を行わず、「寛容」で臨む。この寛容の精神が作品のテーマなのかと思うが、そうでもないようだ。
かつて映画監督溝口健二が言った言葉を借りれば、
「ここには筋があっても、ドラマはない」と言うべきだろうか。
日生劇場
コメント
間違ってますよ。
水野美紀さんがカエサルの妻ってなってますけど、カエサルの愛人役の高橋恵子さんの奴隷役アリスが水野美紀です。
ああ、そうなの
ご指摘有難うございます。
では、カエサルの妻は誰なのですか。出来が良くないので、高いパンフレットは買わなかったので。やたらに背が高いので、水野美紀だと思いましたが。
でも、アリスもうるさいだけで、感心できなかったな。
「冬のライオン」に出ていた…
文学座の高橋礼恵でしょう。
確か170センチ近い長身かと…。