柳家金五郎芸能生活50周年を記念して作られた映画、監督は青柳信雄で、金五郎の他、エノケン、ロッパ、伴淳、森川信など、喜劇人の総出演作品。
話は、無学無筆の大工の金五郎とその娘八千草薫親子をめぐる人情話であるが、特に目立つものはない。
唯一、皮肉に見えるのが、お祭好きの金五郎が、町内の連中が御輿でケンカになり、相手の隣の町内の親分に詫びに行く。
すると、親分のロッパが、無筆の金五郎に向かって、「侘び証文」を書けといびる。
勿論、金五郎の大工が無筆なことを笑っているのだが、ここはそうした教養の差を誇るしかないロッパへの青柳ら作者の批判のように見えた。
この時期、かつて全盛を誇った古川ロッパは、完全に落ち目で、日記でも東宝の冷酷さを再三再四記述している。
結局は、東宝の傍系と言うべき、新東宝や富士映画等に出て、糊口をつなぐ状態だった。
要は、背に腹は代えられなかったのである。
青柳信雄の監督ぶりについて、ロッパはきわめて効率的で、あっという間に撮影が終了してしまうと書いている。
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