『大いなる旅路』

1960年、東映が国鉄の全面的な協力の下に作った蒸気機関車の運転手、「釜たき」の物語。
主演は、一生を岩手の盛岡鉄道管理局で終える三国蓮太郎、戦死する長男は南広、父のあとを継ぎ国鉄マンになる次男が高倉健、特攻隊員から戦後グレて死んでしまう三男が中村賀津男。
貨物列車に乗せたことから夫婦になる貞淑な妻は、風見章子、娘は小宮光江で、頑固親父に反抗して家出する。
年代記ものの常で、ドラマの背景には戦争、戦後の2・1スト等もあるが、ただのバックの書割で、戦争で死ぬ長男以外に登場人物に関らない。
三国と故郷の同級生で、鉄道教習所に合格し、東京駅の駅長になるのが加藤嘉、その娘八代万智子は、幼馴染でもある高倉健と一緒になる。

最後、名古屋に住む小宮光江のところに三国夫婦が行く。
すると結婚相手は、貯木場の労働者の山本麟一であり、一目で三国は彼を好きになる。
日本国全体が、「汗を流して日々労働することが一番尊く、楽して金を儲けよう」などと誰も考えていなかった時代の映画である。
いつから「お金を儲けるのっていけないことなんですか」などのふざけたことを言わせる国になってしまったのだろうか。
言うまでもなく小泉・竹中路線以後からである。
意外にも観客が多く満員に近かったが、SLの場面が多いので、鉄道ファンが来たのだろう。
神保町シアター

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