『ひとりぼっちの二人だが』

年末に、1962年の『上を向いて歩こう』を見て、正月は例によってくだらないテレビ番組なので、録画してあった同年にほぼ同じスタッフ、キャストで作られた『ひとりぼっちの二人だが』を見る。
ここでは、吉永小百合、浜田光夫、坂本九の3人が、浅草の小学校の同級生で、半玉、ヤクザのチンピラ、ストリップ劇場の下っ端になっている。
そして、全体を貫く筋は、半玉で水揚げをさせられようとしている吉永小百合が、どう逃れるかになっていて、吉永小百合の比重が増している。要は、彼女の人気が急上昇していた結果である。
この1960年代中頃は、一言で言えば、吉永小百合時代だった。
高橋英樹は、吉永小百合の血の繋がらない兄で、ボクサーの卵であり、吉永をめぐり浜田光夫と三角関係になっている。

ここで大変興味深いのは、浜田光夫の兄貴分は小池朝雄で、坂本と浜田が隠している吉永を探すよう命じ、対立することになることだ。
ここまで書くと日活を見ている方は、すぐ気がつくだろうが、この3人の構図は、1年後の中平康監督の名作『泥だらけの純情』にそのまま移行することになるのだ。
名作は、過去の作品の積み重ねの上にできると言う証左である。

最後の方で、大変驚いたことがあった。
舞台は浅草なので、その周辺でロケされているのだが、小池らのヤクザから逃れるため、吉永小百合を坂本九が住んでいるボロビルの屋上の小屋に隠す。
なんと廃墟のようなビルは、横浜市役所の対岸、当時は平和球場を挟んだ場所なのだ。
今は、ホテルになっているところで、球場も今の横浜スタジアムのような大きなものではなかったので、完全に見通せているのである。
当時、日活は、港など横浜でも多くロケーションしていたので、スタッフがこのビルを見つけたのだろう。

ラストは、例によって、人間は一人では生きられないという、脚本熊井啓の日共民青的メッセージだが、舛田が上手く処理しているので、あまり恥ずかしい感じはない。
NHK・BS

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コメント

  1. 村石太&エリチエミ&朱里エイコ より:

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    この映画は その当時人気役者ぞろいですね。
    他のページで 上を向いて~の映画評価が 低いものを 2から3 見ました。私は まだこの映画を 見ていないです。一人ぼっちの二人だが どういう映画なのかなぁ?映画の中に 歴史と文化と人生と 過去と未来~
    名古屋には ストリップ劇場が なくなったようです。
    坂本九で プログ検索中です。
    上を向いて歩こう 最高ですね。未来 九ちゃんのような歌手が 日本に出てくるかナァ?
    坂本九さんの動画もいいですね。さっき新八犬伝 見ました。音楽同好会(名前検討中 坂本九を語る会
    こないだ 坂本九さんの 上を向いて歩こう を 独りカラオケで 歌って 点数70点でした。カラオケ同好会(名前検討中