昨年、ラピュタで見たが、やはり面白い。舛田利雄監督のメリハリのきいた演出がよいが、カメラが蔵原惟繕作品の間宮義雄なのでシャープで抒情的な画面が美しい。
それが一番発揮されているのが、北九州の若松港の港運業社の親分で、高橋英樹の義理の父・石山健二郎が刺殺されるシーンである。
対立していた新興ヤクザの刺客に刺された石山は、当時あった路上の国鉄の貨物線の、ちょうど来た貨物列車に摑まって引きずられていく。
非常に迫力のあるシーンで、最後はスタントマンが落ちたようだが、途中までは石山が引きずられており、石山の役者魂もさすがである。
高橋英樹は、犯人の裁判中に、本当の犯人の親分たちを射殺してしまい、少年刑務所に入る。
ここで高橋をいじめるのが藤竜也で、新人となっている。
出獄した英樹は、組の指示で東京の暴力団に逃げる。
と1960年安保の6月15日で、国会前のデモ隊に対し、暴力団の一員としてデモ隊に殴り込まされるが、その中で若松で知り合った米国人のチコ・ローランドと出会う。
なぜ、チコがそこにいるのかはよくわからないが、そこでさらに新聞記者の浅丘ルリ子と出会う。
2年後、二人は浅丘のアパートで住んでいるが、浅丘は安保後の「泰平ムード」の中で、「もう生き生きとしたことはない」として、高橋英樹との普通の生活に生きようとする。
だが、そのとき、英樹の叔父のような存在だった老ヤクザの加藤嘉が殺され、英樹は若松に行く。
もちろん、殺されてしまい、浅丘ルリ子は、一人会社の窓から外を見ているところでエンドマーク。
脚本が田村猛と森川英太郎という、大島渚とともに松竹を出たヌーベルバークの二人なので、普通のヤクザ映画とはかなり違う。
そうしたものも受け入れる容量が当時の日活にはあったということだ。
チャンネルNECO