「映画よりもレコードの方が先だった」

先週の日本映画学会で、私が聞いた3人目の発表者は追手門大学の須川まり特任教授の「『東京物語』におけるマス・ツーリズムの社会的位置づけ」で、『東京物語』を代表にして大衆のツーリズムを考査したもので、なかなか興味深い視点だった。

それは良いのだが、映画に観光的場面が取り入れられる以前に、SPレコードの時代から観光地を紹介するレコードが数多くあったことをコメントしておいた。

日本一のSPレコードコレクター岡田則夫さんから、私は別府や白浜の観光レコードを聴かされたことがあるが、岡田さんによれば、この種のSPは多数出されていたのだそうだ。

それは当然で、映画に比べSPは、容易に、また安く作れたからである。

こうしたレコードは、恐らく土産として買われ、家に戻った時に送る、あるいは報告会等で演奏されたのだろうとこと。

今、テレビの旅番組はもとより、個人でもSNSで、旅行地の写真を送るが、それと同様のものだったと言えるだろう。

午後、神戸大学の福島可奈子さんの「パテ・ベビーと日本の9ミリ半映画の産業的側面」があり、日本でもパテ・ベビーから伊藤大輔等の映画が復刻されていて、それを聞きたかったが、フランスの事情しかご存知ないようなので止す。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする