『ハワイの夜』

戦争前の昭和15年に、親善使節としてハワイに行った水泳選手の鶴田浩二と、地元の二世岸恵子との悲劇。
話は、彼女が尼僧になっているところから始まり、悲劇が予見されている。
監督は松林宗恵とマキノ雅弘の連名になっていて、マキノの本を読むと、松林宗恵が撮ったが、メチャメチャで話が通じないので、全部編集し直してやったと自慢している。
こんな単純な映画の話がよく分からないなどとは不思議で、多分もたもたして描写が冗漫なところを例によってマキノが編集したのだと思う。

岸恵子も鶴田浩二も、美男美女をうまく演じている。
それもそのはず、この頃岸恵子は、鶴田にぞっこん惚れ込んでいて、二人は明らかにできていたからである。
ラブ・シーンでの岸恵子の表情は、まさに本物である。
だが、勿論この恋は、すでに鶴田には妻も子もいたので実らず、松竹も二人を引き剥がす。

音楽がハワイアンで、バッキー白片だが、バンドの奥に和田弘がいた。
マヒナ・スターズの和田弘であるが、彼もバッキーのところにいたのか。

岸も歌う『ハワイの夜』のメロディーにのせて描写されるハワイの情景。
こうしたハワイへの憧れは、「トリスでハワイ」から、1970年代の新婚旅行のメッカ、さらに芸能人の正月のハワイにまで通じるものとなる。
その意味では、魁の作品の一つだろう。
私は、アメリカへは二度行ったことがあるが、ハワイはない。
一度行ってみたいと思っている。
日本映画専門チャンネル

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