『銀輪』

実験的前衛映画作家・松本俊夫の「幻の」1作目を、フィルム・センターで見た。
制作に経緯のあった作品(彼の前に監督がいたが下りて松本になり、さらに松本と新理研映画社が対立し、最後はベテラン監督の樋口源一郎がまとめた)で、タイトルはない。
少年が自転車の絵本を見ていて寝入り、様々な幻想を見る構成。
自転車は、昭和30年頃日本の重要な輸出産業だった。
松本らしく、説明はなく、自転車から喚起される様々な映像が展開される。
中で注目されるのは、自転車が地面を走っている映像がなく空中を走るシーンが多いことで、自転車の「銀河鉄道の夜」のイメージなのだ。
自転車が空を飛ぶのは、『E・T』であり、この作品はそれを数十年前に先取りしているとも言えるだろう。
特撮は、円谷英二に依頼したとのことで、その際円谷から入社をすすめられたそうだが、『ゴジラ』は作りたい作品ではないと断ったそうだ。

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