『斑女』

東京タワーを見ながら山村聰が絵を描いているところに岡田茉利子が逃げてきて電話ボックスに隠れ、さらに佐々木功が追っかけてくる。

「あれっ、これ見たことがある、二度目なのか」と思っているが、続くにつれて見ていないことが分かったが、この始まりは別の映画にあったと思う。脚本は、権藤利英こと井出俊郎さんで、井出さんは膨大な脚本を書いているので、どこかに同様のものがあるのだろうか、ご存じでしたら教えてほしい。

               

岡田は、義弟の佐々木と北海道から駆け落ちして来たもので、山村の世話で、銀座のナイトクラブのホステスになる。

原作は村松哨風で、彼はこうした中間小説の書き手で、私はこの手の風俗映画が大好きなので、非常に面白く見た。

このブログ以前、私は2チャンネルで「風俗映画作家を評価しよう」というサイトを作っていたくらいなのだ。

要は、クラブのホステスの実態映画で、山村の女の芳村真理、名古屋の陶器会社の御曹司佐藤慶と付合っている峰京子など。

               

岡田茉利子には、銀座の宝石店主の杉浦直樹が目をつけ、岡田も憎からず思っていてある日、杉浦に「明日会ってくれ」と言われる。

喜び勇んで喫茶店に行くと杉浦から、今来日しているスペインのバイヤーに1か月付き合ってやってくれと言われる。

「私にオンリーになれ」ということねと岡田茉利子。スペイン人は、この時期よく出ていたピーター・ウィリアムス。

いろいろあり、大阪から家出して来た不良娘の倍賞千恵子と佐々木ができたりするが、最後岡田茉利子は、杉浦と別れ、山村聰と一緒になるらしいことが暗示されてエンド。

東京タワーの他、京都の寺の五重塔、大阪の通天閣とタワーが出てくる映画でもあった。

佐藤慶は詐欺師で、峰京子は、自室から763万円を盗まれる。芳村は、山村聰を最初から裏切っていて恋人の高木丈二と一緒になる。高木は歌手だったのだが、松竹さらにテレビに出ていたが、少し暗い感じのある二枚目だった。

監督の中村登は、東大出だが、実家は浅草の花柳界だそうで、こういう女性の世界は詳しく、原作の村松も風俗作家なので、非常によくできていた。

阿佐ヶ谷ラピュタ

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