『赤い陣羽織』を見て、これが伝統的な(特に左翼の)権力者像だと思った。
勘三郎が演じる代官は、好色、強欲でしかも、馬鹿でへまな男である。
貧農・伊藤雄之助の美人妻有馬稲子をものしようとして、策略をめぐらし手下に命じ実行するが、へまなので失敗する。また、周囲(いつもの三島雅夫や井上昭文ら)も同様な連中として描かれている。
昔の寓話劇だからと言えばそれまでだが、現在も権力者のイメージはそうしたものであるようだ。
だが、実態はそんな無能な者だったら、権力は維持できないので、そんなはずはない。
小泉純一郎首相の人気がひどく高いのも、従来の首相・権力者像とは違うものがあるからではないか。