新橋演舞場で井上ひさし作、木村光一演出の『もとの黙阿弥』を見た。
井上の作は、さすがだが、『黙阿弥オペラ』と中身を間違えていた。
黙阿弥のことだと思っていたら、明治になってからの浅草七軒町の芸人たちの話だった。
これを書くために井上は、800本の歌舞伎台本と「黙阿弥全集」を3回読んだのだそうだ。すごいが、それだけ黙阿弥が面白かったということだ。
笠原和夫も、東映に入ったとき、専務の牧野満男から「黙阿弥」と「曾我の屋劇」を読めと言われたそうだ。
確かに黙阿弥は面白い。台詞のリズムが最高なのだ。
この『もとの黙阿弥』の中では、『十二夜』のような主従の入替りがあり、それによって自分を見直すというのが、主題である。
男爵家の筒井道隆が身分を捨て庶民の中に入ると決意するのは、やや甘い気もするが、井上ひさしの願望だろう。
コメント
もとの黙阿弥~浅草七軒町界隈~
同じ新橋演舞場で22年前に上演された井上ひさしの商業大劇場最初の作品を(観てないが)、初演時と同じく木村光一が演出した。
時は明治20年代、芝居小屋が立ち並ぶ浅草七軒町界隈の「大和座」が舞台。
しかし、この小屋は黙阿弥の新作を下書きに盗作まがいの小芝居を上