東宝の映画監督だった堀川弘通氏が亡くなられた、95歳。
言うまでもなく、戦前、戦後黒澤明の助監督を務められ、特に映画『七人の侍』でのチーフ助監督は有名だろう。
その後、監督として『あすなろ物語』『女殺し油地獄』『裸の大将』『黒の画集・あるサラリーマンの証言』『白と黒』などの名作を残された。
この人は、黒澤明のチーフ助監督をしたため、黒澤の後継者のようにみなされたのは、ある意味で損だったと思う。
そのため、相当に良い作品を作っても大きな評価を受けなかったことがあった。
1961年の司葉子と高島忠夫の映画『別れて生きる時も』などは、ややセンチメンタルではあるが、今ではベスト1だと思う程の出来だが、公開当時はさしたる評価ではなかった。
1970年代以降の東宝の製作機能の整理縮小の余波を受け、メジャーでの監督作品が減り、最後に東京映画で大作『アラスカ物語』を作り、これが不幸にも当たらず、それが引き金で引退状態となったようだ。
今や日本の映画界でも死語となりつつある「良識派」の監督の一人だったと思う。
個人的には、もっと評価されて良い監督だろう。
ご冥福をお祈りする。