2006年、高倉健が、中国のチャン・イーモウ監督から請われて出演した日中合作映画で、日本側は監督降旗康男、撮影は木村大作。
地方の漁村で一人で生活していた高倉は、疎遠だった息子で大学の研究者の中井貴一が病気だというので会うため、上京してくる。
恋人か妻かは不明だが、寺島しのぶに会うと、「父には会いたくない」とのことで、その代わりに1本のビデオを渡される。
中で中井は、中国南部の少数民族の仮面劇を研究していて、その様子を撮影していた。
そこで、主役の男は、今日は演じられなかった『三国志』の『単騎、千里を走る』を歌いたいと言う。
すると高倉は、いきなり中国に行ってしまう。
その仮面劇の主人公の『単騎、千里を走る』を撮影するために中国奥地まで行く、道中記である。
この映画で一応良いところを上げれば、高倉と中国人の言葉の通じ合わないことをきちんと描いていることで、その意味では国際交流、親善は言語の問題が最大なのだから。
昔、熊井啓の映画『天平に甍』では、中国人も全員日本語をペラペラと話し、鑑真和上が唐招提寺で、仏教を日本語で講義するので、仰天したことがあるが。
筋はいろいろあるが、『単騎、千里を走る』も、仮面劇役者の息子探しも、さらに中井にビデオを見せるのも、全部無意味なことが明かされる。
それは、こういう作品を作ることへの、チャン監督の抵抗なのだろうかと思った。
日中合作無駄骨折映画、はいご苦労さん。
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