元宝塚スターのファンクラブの主催者が脱税で問題となっている。かつて上月晃に入れあげた女性の事件など、宝塚ファンは時々問題になる。
昔、東京宝塚劇場の前を通ったとき、太地真央様が劇場に入る時だった。
多くのファンに囲まれている中を、オープンカーに乗って真央様がしずしずと進み、劇場楽屋口に消えていった。東京公演の時、彼女は帝国ホテルに宿泊しているが、毎日そこから数百メートルを高級外車で入場する。それは、太地真央友の会が車を手配し、運転の順番を決めて運営しているのだそうだ。
これで、三者がみな幸福になる。
ファンは、スターと数分間だが車で同席できる。
スターは自分は大スターだという嬉しさにひたれる。その分、歌劇団はスターの報酬を抑えられる。
誰も損していないこのシステムを作った小林一三は本当に凄い。
要は、ファンがスターを支えるシステムなのだ。
かつては、日劇ダンシングチーム、松竹歌劇団、大阪松竹歌劇団等があり、昔は、本質的に「お嬢さん芸」の宝塚よりは上とされていた。
だが、それらが今はなくなったのは、宝塚のような「ファン・システム」を構築できなかったからだと私は思う。
宝塚は、ファンのためにいろいろと策を講じているが、第一は月刊誌『歌劇』を出していることで、内容はファンの投稿からできている。今でいえば、ネットみたいなものだが、、昔からやっていて、作詞家の岩谷時子は、元はここの編集担当だった。さらにDVDやCDも出しているが、どれも今では採算は取れていないと思う。
さらに凄いのは、毎公演、パンフレットには、権利関係で無理な時以外、出演者全員の顔写真の他、台本が全文掲載されている。これで、ファンはお気に入りの場面と台詞を自分で演じることができる。
小林一三は、非常に面白い人で、若きに日は、発禁本を書いたこともある。発禁本と言っても大したものではなく、芸者との交情を描いただけで、風紀紊乱故だったようだ。
また、この人は、商工大臣の時、安倍晋三の祖父・岸信介次官と対立し、共に辞職したという事件もあった。自由主義経済の小林と統制経済の岸が対立し、近衛文麿首相も困って喧嘩両成敗で、二人とも首にしたのである。