自民党はなぜ勝ったのか

衆議院選挙で自民党が大勝し、それは自民党が勝ったのではなく、民主党が負けたのだと言われている。

確かにそうだが、本当に自民党は、民主党のオウンゴールで勝ったのだろうか、一度検証する必要があると思うので書く事にする。

さて、自民が勝った第一の理由は、ある意味で当たり前だが、2009年の政権交代選挙で、民主党に歴史的敗北をして以来、ずっと選挙を待って準備してきたからである。

民主党は、近い人の話だと、本当はなるべく遅く、来年の春頃で、大阪維新の会の人気が落ちてくるのを待って解散、総選挙の予定だったようだ。

だが、野田前首相が、他の人にもあまり相談せず、急に12月16日総選挙と言ってしまい、選挙になってしまっので、準備が大幅に不足して敗北した候補もあったようだ。

本当に民主党の多くの議員は、選挙は来年の春頃と思っていて、野田佳彦は、誰にもロクに相談せずに決めてしまったようだ。

この辺は、党務をあまりやったことのない野田佳彦前首相の経験のなさが出た結果である。

今までの民主党の選挙は、選挙のプロの小沢一郎が取り仕切っていたが、例の陸山会事件で(私はこの事件は一種のでっち上げであり、小沢一郎は当然無罪だと思っているが、彼に金権的体質があることは事実である)、民主党幹事長をやめてしまい、選挙のプロがいなくなった。

その後、選挙の担当は輿石東氏だが、彼は参議院議員であり、今回のような総選挙、さらには同時に行われた都知事選挙や補欠選挙を取り仕切る力量はなかった。

一方、自民党は、2年ぐらい前から、各選挙区の候補を決めて運動していた。

例えば、横浜市栄区は、隣の逗子や葉山と併せた神奈川4区で、民主党の長島一由が当選してきた。

これに対して、2年前頃から、山本朋広というのを候補として、盛んにポスターを貼っていた。

これはどのような人間かと思うと、前回は京都2区で、前原誠司に負けた候補で、それなりの人物と思われたので、神奈川4区の候補になったのだろう。

小選挙区制の弊害の一つが、このような落下傘候補で、地域と無関係な候補が党中央の指示で、地域に来てしまう。

だが、一応自民党は、地域に市町村会議員がいるので、彼らを手足としてドブ板運動をすることになる。

4区には、みんなの党の幹部の浅尾慶一郎もいて、今回の選挙は民主党の支持率低下で厳しいと予想したのだろう、選挙直前に長島一由は立候補を取りやめ、民間のシンクタンクに就職した。

まことに機を見るに敏というか、敵前逃亡であり、大変に無責任な行動である。

民主党には、こういう卑怯ないい加減な連中がいる。

新しい政党だから政治家に倫理性がなく、仕方がないところもあるが。

そこで、西区の若手市会議員だった萩原広隆が市会議員を急遽辞職して出たが、惨敗だった。

これなどは、本当に準備不足の例だろう。

また、今回明らかになったのは、労組の組織力の低下だろう。

小泉純一郎の構造改革路線で、2005年頃は、従来自民党の集票マシーンだったゼネコン、医師会、農協、郵政等が力を完全に失っていた。

だから、むしろ都市の地域では労組の方が組織力があると言われていた。

だが、今回の社民党の惨敗に見られるように、地域の組合の力、組織力が低下していることが明らかになり、民主党の選挙にも影響している。

これは言うまでもなく団塊世代の大量退職によって組合員が減り、労組の組織力が落ちていることの証左である。

都知事選挙で、民主党が自主投票だったのに対して、連合東京は猪瀬支持にしたのは、選挙後に与党になった方が有利なことを意識していることだが。

都知事選もそうだが、近年民主党は大阪市長、府知事選等で独自候補を立てなかった。

たとえ敗北しても、首長選挙には独自候補を立てるべきで、自民党は概ね必ず独自候補を立てている。

勿論、自民党には、何でも良いから選挙に出たいという人間が集まって来るからだが、やはり選挙に強くなるには、どのようなものであれ、選挙戦を戦うのが一番の方法なのである。

いずれにせよ、今回自民党は、万全の準備態勢で選挙戦を戦い、新人さらに2009年で落選した議員を大量に当選させることができた。

だが、比例区での自民党の得票数の低下に見られるように、21世紀に入り、自民党の国民政党からイデオロギー政党への変質と共に、その支持層は徐々に減っている傾向は依然として変わっていない。

この次の夏の参議院通常選挙までにネット選挙を解禁するだろう。

それによって、ネットウヨはともかく、今や新聞はおろかはテレビも見ない、全ての情報をネットや携帯から得ている若年層の支持を得たいと安倍自民党は思っているのだろう。

だが、そう上手くくだろうか、大いに疑問がある。

そして、今回の選挙で一番当てが外れたのは、石原慎太郎と小沢一郎だろう。

石原慎太郎は、今回は自民党が第一党になるにしても到底過半数には届かず、その時は自分が首相になる可能性があると読んで都知事を辞職したが、

総理になれず、年齢的にもう首相は無理だろう。

そして、小沢一郎、今回の未来の党の惨敗で、彼の神通力も衰え、今後はもう回復できないのではないだろうか。

時代の流れというべきだろうか。

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コメント

  1. 埴輪クン より:

    感謝
    詳しいご説明ありがとうございました!