『わが命の唄・艶歌』

1968年、日活で公開された舛田利雄監督作品、原作は五木寛之で、「演歌の竜」と言われた、コロンビア、クラウンレコードで活躍した馬淵玄三がモデル。

原作は、芦田紳介が演じた高円寺竜三の話で、主人公渡哲也は出てこないようだ。

ここでは、イラストレーターから音楽ディレクターになる渡哲也、彼を見出して育てる、演歌嫌いの冷酷な男佐藤慶との三人の男のドラマになっている。

冒頭で、ホテルで牧紀子セックスした渡は、彼女に結婚を申し込むが、夜明けにホテルを出た牧紀子は、車で海に飛び込んで自殺してしまう。

この牧紀子の自殺の真相は、という筋もあり、これは裕次郎・浅丘ルリ子、舛田利雄の傑作『赤いハンカチ』に似た構造である。

ミリオン・レコードの佐藤慶にスカウトされて入社した渡は、そこで芦田が演じる「演歌の竜」こと、高円寺竜三を知る。

彼は、東京芸大を出た男で、当然クラシックを志向していたが、日本中をレコードを売り歩く中で、演歌に目覚め、演歌こそ日本人の心だと信じるようになる。

会社は、社長が清水将夫、専務は山内明、経営は良くなくて、親会社から佐藤慶が立て直しのために、送り込まれたのである。

佐藤は、演歌を乞食節と嫌う人間で、ヒットを掛けて芦田伸介と争うことになる。

芦田が推す演歌歌手は水前寺清子、佐藤慶が売り出すのは団次郎で、軽いポップスを歌う。

当初、団次朗がリードしているが、水前寺の父が前科者であることがマスコミで暴かれ、それが逆宣伝になり、水前寺の曲も50万枚を越えるヒットになる。

だが、負けは負けだとして、芦田はミリオンレコードを辞職し、渡も彼に続いて会社を辞める。

その時、牧紀子の妹で、佐藤が求婚していた松原智恵子の前で、牧と佐藤の関係を暴き、牧の自殺は佐藤の冷酷さに絶帽したことを解明する。

その程度のことで、あのような絶世の美女の牧紀子が死ぬかと思うが、まあいいだろう。

上映の途中で、急に映像が消えた。

多分、映写用のランプが切れたのだろうが、すぐに説明があり、5分くらいで回復し、その後無事上映された。

終了後、窓口で招待券をもらった。

このような店のミスに対してきちんと謝罪し、対応措置をとるのは、スーパーなどではよくある。

だが、映画館でもらったのは初めてであり、阿佐ヶ谷ラピュタの対応を大いに褒めたいと思う。

他の映画館では、ピンボケ上映など頻繁にあるが、一度もこうした謝罪と対応にあったことがない。

阿佐ヶ谷ラピュタ

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