小泉首相のやり方は、簡単に言えば「金持ち喧嘩を売る」だろう。
日本の保守政治家は、一口で言えば「金持ち喧嘩せず」だった。
多くの政治家は、功なりとげた者か、いずれなることが約されている人間で、あえて物事に争いを持ち込まず、万事丸く治めるのがその基本的態度だった。
自民党の派閥で言えば、池田派、大平派が典型で、お公家さん集団と呼ばれ、多くが官僚出身者だったが、出自は地方の名望家が多い。現在では、加藤紘一がその代表だろう。谷垣財務大臣も近い。
だが、小泉首相の考えは、こうした伝統的な思考方法と全く異なっている。
積極的に問題を提起し、事を起こすことによって政治化し、自己の陣営に引き込む。今回の郵政民営化問題がその典型である。
恐らく、この方法は彼が英国に留学していたときに見聞きしたやり方であるに違いない。
亀井、綿貫ら伝統的自民党政治家の反発もそのあたりにあるのだろう。