小津安二郎の晩年の作品『秋刀魚の味』『秋日和』『彼岸花』『お早う』が松竹とフィルムセンターのデジタル技術で修復され、映画館でも上映されるそうだ。
それはそれで大変結構なことだが、松竹にはもっと他にやるべきことがあるのではないか。
それは、戦前、戦時中に大ヒットした映画『愛染かつら』のきちんとした上映、発売である。
『愛染かつら』は、全部で4作作られたが、現在私たちが見られるのは、まるで素人がカッティングしたようなひどい編集の『総集編』だけである。
同作は、大ヒットで次々に作られ、最後は上原謙は、中国に行くのだそうだが、その戦意高揚性のためか、『総集編』ではまったく出てこない。
だが、戦意高揚映画は、松竹でも他にいくらでもあり、それが上映されているのに、大ヒット作品の『愛染かつら』が公開されないのはひどい。
戦時期に日本人は、一体同作のどこに感動し、泣いたのか是非見たいものだと思っている。
関係者のご理解をいただきたいものである。
コメント
総集編が作られたらお仕舞い
指田さん、ども。
日本の映画会社は、ある時期まで、総集編、短縮版を作るとき、もとのネガを切り張り、取捨選択して作ってしまう傾向にあり、つまり、総集編、短縮版が作られるということは、オリジナル・ネガの不要部分は捨てられてしまうわけであり、もう、オリジナルは存在しなくなります。
ご存知のとおりでしょうが。
ですので「愛染かつら」4部作は、もう、この世にも、松竹のフィルム倉庫にも、存在しないでしょう。
この同じ愚を、日本ではTV中興期にくりかえします。
VTRテープが高価だったため、前に録画した番組を消去し、次の番組の上書きを繰り返し、元の番組の録画がほとんど残らない始末。
まあ、「すべてを水に流す」日本人らしいっちゃ、らしい。