9月23日に川崎市民ミュージアムで『にっぽん戦後史・マダムおんぼろの生活』を見たと書いたが、その日は今村昌平監督の映画『人間蒸発』も見た。
これは、東京下町からある男が蒸発したことを、その婚約者だった女性早川佳江さんと俳優の露口茂、今村組のスタッフが探すもの。
途中で佳江さんが露口を好きになってしまい、その告白も隠し撮りで捉えている。
封切り当時も、ルール違反だと今村に対して批判があり、早川さん本人も告訴したはずだが。
確かに今見てもあまり後味の良くない作品である。
しかし、封切り当時は衝撃を受けた隠し撮りのシーンは今見ると余り驚かない。
それは、その後テレビ等でそうした手法は当たり前のように行われているからである。だが、「人権的視点」から見ればこうしたことへの感覚の麻痺はいいことではないだろう。