伊藤圭一氏によれば

このところ、死んだ人のことを書いたので、生きておられる人のことも書いておく。

日曜日の東京新聞に、作家伊藤圭一氏のインタビューが載っていた。95歳で、神戸の有料老人ホームに奥さんと一緒におられるのだそうだ。

伊藤圭一と言っても知らない方もいるだろうが、戦記小説の第一人者で、ノンフィクション小説が今のように脚光を浴びるはるか以前から戦場の真実を書いてきた方である。

『静かなノモンハン』『遥かなインパール』等があるが、元は詩人だったそうだ。

戦争には、中国に2度出て、合計7年間おられたそうだ。

そこでの結論は、戦場では、どのように無謀な作戦でも、下級の兵は、上官の命に従わなければならず、犠牲者は圧倒的に下級の兵が多かったということだ。

戦後、彼は中国での騎兵と馬のことを書き、芥川賞を受賞したことから、各地の戦友会に呼ばれ、実話を聞くようになる。

当時、戦場から生き残って来て帰還した兵士に日本の地域の大衆は非常に冷たかったそうだ。

戦前は、「勝って来い」と勇ましく送り出したのに、負けて戻って来ると、

「なぜ負けて、生き残って帰って来たのだ」と批難の目で見られたそうだ。

日本人というのは、そうしたものであり、勝てば官軍だが、負ければいつも賊軍なのである。

今の日本の政治家、かつては自民党にも下士として戦争を体験した者もいたが、現在は戦争を体験したことのない連中が、いけいけどんどん的になっているのは恐ろしいという。

さらに、旧社会党など野党にも、平和への強い信念があり、それが戦後日本の平和を保ってきた。

戦争ゴッコをしたくて仕方がない首相をいだく日本は、今後ほんとうにどうなるのだろうか。

戦争ゴッコは、テレビゲームの中だけにして欲しいと思う。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする