『トンブクトウのウッドストック』

金曜日に北中正和・理咲夫妻に教えらた「難民映画祭」に行く。

会場は、明大前の明大和泉校舎で、以前古本屋を目当てに駅前を歩いただけで、土地勘がないので、早めに行くことにしてお目当ての作品の前の『ダブリンの罠』も見る。

ダブリンの罠とは、EUの条約の一つで、難民の受入、移送に関するもののようで、ここではアフガンからギリシャを経て、ベルギーに行くが拒否された人のケースを手がかりにギリシャでの難民問題について描く。

事情がよく分からないが、経済危機を背景に難民問題が複雑なことがよくわかった。

会場の前のカフェで次の作品まで待つが、この校舎は非常にきれいで立派であり、明治大学は駿河台の本校もそうだが、非常に立派である。余程儲かっているのだろうか。

『トゥンブクトウのウッドストック』とは、毎年1月にアフリカのマリで行われている音楽祭で、かつての黄金の都市トンブクトウという砂漠の真ん中で行われるもの。

CDは、「砂漠のブルース」として話題になり、持っているが、一体どのような音楽祭なのか知りたくて見ることにしたのだ。

映画は、会場の設営から始まり、アーチストや観客のインタビュー、演奏を紹介する。

その音楽は、一種の語りものであった。

どうりで、CDを聞いてもよくその音楽が分からなかったはずだ。叙事的に生活や現地の人の問題等が語られているので、要はそれらに関係ないわれわれにはなかなか理解できないのである。

次第に映画は、マリ、特にマリの北部に住むトアレグ族が直面している問題に入り込んでいく。

もともと彼らは、現在のマリ、ニジェール、ブルキナファソ、アルジェリア等に広く住んでいたが、人種的にはマリ南部のコンゴ・アフリカ系とは異なる、コーカソイドのベルベル人に属し、マリの中では多数派の南部人に迫害されてきた。

そこで北部地域の独立を目指し、イスラム系の政治、武装組織が生まれ、一部はリビアで傭兵訓練を受けた連中がカダフィ政権崩壊以後に流れ込み、南部政権に対して軍事的に優勢な時もあった。

フランスやアフリカ連合による攻撃で、北部からは大量の難民が生まれることになったそうで、17万人というのだから異常だ。

マリ全体で人口は1,630万人なのだから、1割が難民になったとは驚く。

映画の後、マリのトンブクトウから日本に来て20年以上生活されている女性の話があったが、それによれば日本にいるトンブクトウ出身者は、後3人で、一人は北海道と名古屋に、もう一人は八王子にいるそうだ。

料金は無料だったので、寄付して戻る。

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コメント

  1. より:

    17/1630
    1割?
    1%の間違いでは?

  2. さすらい日乗 より:

    勘違いでした
    その通りでした。でも、人口の1%が難民になるというのは異常な高さですね。日本でいえば、100万人ですから。