1939年の東宝映画で、主演は椿澄枝と岸井明の親子、タイトルで歌と同時に港の風景が出てくるが、山並みが見え、
「これは横浜じゃないな」と思うと、やはり神戸港、戦前の映像は貴重であるが、するとこれは旧JOの東宝京都撮影所の作品になる。
1941年まで一応あったそうで、この頃に東京砧撮影所に統合される。
話は他愛のないもので、神戸の港近くでカフェをやっている岸井は、遊園地事業に失敗し、娘の椿には変な男が付きまとう。
また、椿は船に乗って外に行きたいといった願望を持っている。未亡人が出てきたり、いろいろあるが録音がひどく、筋がよくわからない。
だが、最後は適当に目出度し目出度しとなる音楽映画。
岸井や椿の他、叔父として船員の徳山璋が出ていて歌う。特にタイトルの『船乗りの唄』は、私の学生時代、春歌として聞いたものの一つの元歌だった。
この春歌は、東京六大学の女子学生と性交するときに、大学毎に順に歌うもので、
「早稲田の姉ちゃんとやるときにゃ、学帽被ってせにゃならぬ」と言った具合の下劣な歌である。
この元歌はなにかと思っていたが、この映画で徳山らが歌った、佐伯孝夫作詞、飯田信夫作曲の格調高いものだったのである。
監督の伏水修は、原節子が唯一惚れたという監督だったが、結核で31歳で死んだそうだ。
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