ヴェーラの野村芳太郎特集、あまり期待しないで行くが、非常に面白いので、『男なら振りむくな』を含め2回見てしまった。
軽井沢の山荘に、道に迷ったオートバイ・ライダーの橋幸夫と田村正和がやってくる。
そこには加賀まりこが犬と一人で住んでいる。
お金は、大富豪の祖母南美江が送金してくるのだという。
祖母が死に、彼女の遺言で加賀は富豪になり、橋と田村、さらに町工場の親父の渥美清らがオートバイを作り、ロードレースに優勝してゆく通俗話だが、渥美の妻が小田切みき、娘が左時枝。
その他、弁護士の松本克平、橋幸夫の先輩に小沢昭一、南の遺産を狙う親戚連中に永井秀和、柳澤慎一、高橋豊子、ミッキー・安川などを配置した適役で脇を締めているので、無理なく見られる。
さて、『恋の画集』は、仙台からの夜行列車で、課長佐野周二とOL(ここではまだBGと言っている)の鳳八千代の写真を撮った川津佑介は、佐野の後をタクシーで付け、自宅に行き、彼が国の課長であることを突き止める。
川津の恋人は、佐野の部屋付きの秘書のような女性の桑野みゆきであることから起きる騒動。
川津は、写真を佐野の送り金を取ろうとする。
若い二人は結婚したいが、貧乏だからだ。
いろいろあるが、最後のレストランでの、桑野の父で、地方都市の市役所の課長が現れて大騒動は、大爆笑もの。
佐野の友人の弁護士加藤嘉の事務所で、いつも事務所員の穂積隆信とじゃれついているのが炎加代子で、実は・・・と言うオチが付く。
だが、この映画のどこが「恋の画集」なのだろうか。
『男なら振りむくな』で、特別出演の石坂浩二が、加賀と会うのは、上原謙・加山雄三親子がかつてやっていた茅ヶ崎のパシフィックパーク茅ヶ崎だろう。
ホテルの内部の映像を初めて見たが、石坂と加賀のことについて言うお婆さんは、加山の祖母で、松竹の女優で戦前からこの頃までいた江間光括だろう。
シネマヴェーラ渋谷