1973年、東映で作られた勝新太郎主演映画で、簡単に言えば、兵隊やくざの東映版である。
横須賀海兵団に、勝新太郎のほか、長谷川明男、松方弘樹らが入ってくる。
そこは、ほとんど暴力小屋で、藤岡重慶らの上官によって暴力のオンパレード。
中でいかにも東映的だと思うのは、便槽に落ちた華族の将校の時計を、便槽に潜って取らせることであるが、この事件で宮様の太田博之と知り合いになる。
太田の宮様は、掃き溜めに鶴ではなく、便所に鶴とでも言うべきか。
勝は、母親の赤木春恵の言いつけを守って自重しているが、ついに暴れて刑務房に入れられてしまう。
ここで、元将校でインテリの菅原文太と会い、やっと映画は『兵隊やくざ』のインテリ田村高広とのコンビになる。
また、ここでも山本麟一以下の牢名主と、これに結託した藤岡らに暴力行為を受けるが、最後は海兵団全体の反乱になる。
そこに現れた太田博之の宮様で鶴の一声で、反乱は収まるが、その罰は、拡大する上海事変への動員で、勝を旗手に船出していくが、全滅だったろうことが暗示される。
勝新太郎の東映出演は、これだけになるが、便槽事件のような泥臭くて東映京都のセンスのなさが嫌になったからだろうか。
大映の勝新太郎にとって、東映は大映から戦後にできた二流会社であり、美術などの貧弱さが許せなかったのではないかと私は思う。
大映は、日本最古の映画会社日活の流れをくむ会社であり、美術や撮影、録音、照明等のスタッフは日本一だったのである。
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