『やくざ戦争 日本の首領』

1970年代にアメリカ映画で暗黒物がヒットしたことに便乗して、日本のドン山口組を題材に描いた1977年の東映の大作。
ドンは佐倉組組長の佐分利信、その直属の部下が鶴田浩二の辰巳、その妻は市原悦子、佐分利の妻も青年座の東恵美子で、佐分利との間の娘は文学座の二宮さよ子。
彼女と結婚する医者はやはり文学座の高橋悦史と新劇人が総出演である。
話は、大阪の繊維会社の社長高橋昌也が、クラブの女と寝てしまい、そのもみ消しを会社役員で裏専門の西村晃が依頼したことから会社と裏社会との付き合いが始まる。
そこに、民政党副総裁神田隆、右翼のボス内田朝雄らも顔を出す。
だが、なんといっても爆笑ものなのは、幹部のインテリヤクザの成田三喜夫と武闘派の単純ヤクザ千葉真一である。
また、例によって悪乗りで演技する、田中彰治議員を思わせる金子信夫も大いに笑わせてくれる。
途中から、筋は山口組に対抗する関東の稲川会を思わせる錦城会の菅原文太との対立、高橋昌也や西村晃らの裏切りになっていく。

最後、警察の圧力で、組は次々と解散し、鶴田も解散しようとするが、佐分利は許さず、高橋の注射で鶴田は急死してしまう。
鶴田の死因を聞く佐分利に高橋は答える。
「私も、佐倉ファミリーの一員ですよ」
企画に田岡満が入っていて、このシリーズは『野望編』『完結編』と続くことになる。

音楽は黛敏郎と伊部晴美なので、オーケストラの曲は黛で、ギター弾きの女と火野正平の件があるが、その辺が伊部なのだろう。
こういう大作は、豪華に役者が出てこないと面白くないが、この中の連中でも、鶴田と佐分利、高橋昌也、西村晃は勿論のこと、さして高齢ではないのに高橋悦史の他、地井武男、成田三喜夫もすでに亡くなっているが、女優では東恵美子も数年前に亡くなられている。
BS=TBS

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