女優の三条美紀が亡くなられた、86歳。
彼女は戦後大映の新人女優としてデビューし、三益愛子と共演した「母物」で人気女優になる。
だが、彼女の出演作品で重要なのは、黒澤明の問題作の『静かなる決闘』に主人公として出ていることである。
これについては、黒澤明の徴兵されなかったことの「贖罪意識」だと言うのは、何度も書いたので繰り返さないが、三船敏郎の相手役となった彼女も戦争の被害者だったのである。
母物といい、『静かなる決闘』といい、彼女は戦争の被害者役を演じてきたと言えるだろう。
1970年代以降は、市川崑監督の『犬神家の一族』以降の横溝正史シリーズ作品でも必ず出ていた。また、市川崑の晩年の傑作『細雪』では、蒔岡本家の女中役も演じていた。
言うまでもなく、かつて若手女優として活躍されていた紀比呂子は、彼女の娘だった。
戦後の映画を代表する女優のご冥福をお祈りする。
それにしても、愛川欣也の訃報は新聞の一面トップと言うのは、少し扱いが大きすぎるように思うが。
コメント
Unknown
>愛川欣也の訃報は新聞の一面トップと言うのは、少し扱いが大きすぎるように思うが
80歳まで長年一線で活躍したのだから当然だろ
別の理由を感じるのですが
愛川欣也の訃報が新聞の一面に出たのは、彼が今やテレビ業界で数少なくなった「反権力」的なタレントの一人だったからではないだろうか。
かつては、前田武彦、大橋巨泉、永六輔など、有名タレントの反権力主義は当然のことだった。
それは二つの理由があり、一つはジャーナリズムは権力を批判することが第一の使命だと皆考えていたことである。
もう一つは、「電気紙芝居」として、映画などからバカにされていたことへの反発である。
自民党のNHKとテレビ朝日へのヒアリング問題に示されるように、今やテレビは、権力への批判力を失いつつある。
Unknown
こんにちは。
愛川欣也 氏は”「反権力」的なタレントの一人だった”
その愛川 氏を表舞台(主に地上波テレビを指します)から外したのもメディアです。
最近はBSやラジオが主戦場であったと思います。(誤った認識であれば誤りを認めます)
多くは申しませんが、地上波ではやりたくないという、ご本人の意思もあったようです。
「今やテレビは、権力への批判力を失いつつある。」と仰られますが、今までメディアは正しい情報を提供してきましたか。
最近、明るみになったいくつかの出来事を見ても、必ずしもそうとは思えません。
”ジャーナリズムは権力を批判することが第一の使命”ということはまったくそのとおりであると思います。
ですが、メディアもまた権力の一つです。
誤った権力の用い方をすれば、批判される側でもあるということです。
昔と今は違うように思います
メディアが権力なのは当然ですが、以前はその内部にも志のある人が沢山いたと思う。TBSのニュース・キャスターから議員になった田英夫など。
それが変わったのは、「西山事件」で、この時の財界の不買運動で、毎日新聞は産経新聞以下になってしまい。マスコミは権力の顔色を窺うようになったのです。
事実は、西山記者の報道の方が正しかったことは、すでに明らかになっていることですが。
愛川欣也について言えば、「トラック野郎」のように企画力はあったが、役者としては所詮は二流だったと思う。
『キンキンのルンペン大将』など主演作もあったけど、それはひどいものでしたね。皆さんは見ていないだろうけれど。