「家族はたいへんなんだなあ」 亀井文夫作品上映会

渋谷のアップリンクで、雑誌『NEONEO』の亀井文夫特集の上映会が行われ、2回目の『戦ふ兵隊』はあらためて非常に凄いと思ったが、一番記憶に残ったのは、実は亀井文夫の家のことだった。

この夜のゲストは、亀井の女婿の阿部氏で、亀井文夫は、自分の娘を亀井ではなく、松本の姓を名乗らせていたので、阿部氏は、彼女が亀井文夫の娘と知らずに婚約した。家に行き、表札を見て驚くが、一方彼女は、当時塾の講師だった阿部氏が教員を目指していると聞いて婚約した。

その理由は、映画監督という「ヤクザで不安定な職業」ではない人と一緒になりたかったらしい。

結婚後、亀井文夫に懇願されて映画会社を継ぐことになったので、彼女は大変に落胆したとのこと。

同じ、東宝にいて独立プロ運動の中心で活躍したプロデューサーに伊藤武郎がいて、彼には3人の子供がいた。

その内、長男と長女は、父の職業を嫌い共に普通のサラリーマンになったとのこと。

二男の伊藤昌洋氏だけは、映画が大好きだったので、大映に入って助監督になる。

彼の『映画少年』に書かれている話である。

「一将功成って万骨枯る」と言うが、やはり独立プロで映画を作っていくことは大変なことで、周囲はさらに大変なのだろうと思った。

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