『エロス+虐殺』を見ていて一柳慧の音楽が武満徹にそっくりなのに驚いた。現在の一柳の作品の傾向とは全く違い、きわめて前衛的だが。『ベルリン連詩』など80年代以降の一柳は、古典的な作風になっており、かっての傾向とは全く異なる。
以前、黒澤明の『乱』や篠田正浩の『スパイ・ゾルゲ』を見て、その池辺晋一郎の音楽がやはり武満にそっくりなのでびっくりしたが、やはり武満の音楽は、同業者にとっても魅力的なものなのだろう。
『嵐をよぶ18人』の音楽は林光。林・吉田作品では、『秋津温泉』の音楽が最高である。
作品的にも、『秋津温泉』は風俗映画として大変良くできており、私は好きな映画である。女優も、岡田の他、中村雅子、夏川かおる、日高澄子など多数出てきて面白い。
『秋津温泉』の欠点は、主人公の小説家が長門裕之で初めから卑怯な人間にしか見えないことで、これが芥川比呂志や森雅之だったら随分違ったと思う。