オバマ大統領が、キューバを訪問した。明後日25日には、ローリング・ストンーズの公演もあり、米大リーグとの野球の試合も行われたとのことだ。
ラテン音楽好きの一人として、心から祝福したい。
私は、世界中でブラジル音楽が最高と思っているが、中村とうようさんは、
「キューバ音楽が世界一!」と言っていた。
香港、台湾などの東アジア音楽の評論家の関谷元子さんは、桐朋音大の卒論に、当時大ヒットしていたテレビの『ルーツ』から、そのLPの解説者のとうようさんの『ミュージック・マガジン』に行き、『ルーツ』やアフリカ音楽をテーマとした卒論を書きたいと言った。
数週間後、再度事務所に行くと、とうようさんから「これを聴け!」とキューバ音楽を録音したカセットの大量の束を渡された。
そして、結局その後数か月間、関谷さんは、とうようさんの助手のように仕事にまで付き合い、卒論をキューバ音楽で書き、とうようさんからはBの評価をもらった。
Aではない理由は、「この論文の半分は僕のものだから・・・」とのこと。笑ってしまうではないか。
関谷さんは、当初「なんてひどい人だ」と思ったそうだが、「今はキューバ音楽を勉強したことは大変に役に立った」と言っている。
それはそのはず、ラテン地域全般のみならず、アフリカ音楽や東南アジアの音楽も実はキューバ音楽の影響を強く受けているからだ。
さらに、油井正一さんの言葉では、「ジャズはラテンの一部だ」のようにジャズにまでキューバの影響は及んでいるからである。
さて、キューバで撮影した日本映画がある。
黒木和雄監督の1969年の『キューバの恋人』で、女好きの漁船員津川雅彦が、キューバに行き、現地の女性とできてしまう話で、決して評価できる作品ではない。
この題名のキューバの恋人は、本当は「キューバは恋人」という、黒木らの願望を表現したものである。
ここには、現地のカーニバルのパレードが出てきて、そこには座頭市の真似をする男が写っている。
勝新太郎の映画『座頭市』は、キューバ等の第三世界をはじめ、アメリカの黒人映画館等でも大人気だったのである。
そして、ブルース・リーの「ドラゴン映画」も、実は「座頭市」にヒントを得て作られたものだったのである。