昔、私的、公的を問わず外国に行った者が持ってくる最大の土産が外国の雑誌やビデオだった。
もちろん、無修正の奴である。
ビデオについては、職場に好きな男がいたので、夜みんなで酒を飲みながら見たこともある。
トロイ・ドナヒューが出ているのもあり、「スターも大変なんだな」と思ったものだ。
マリア・シュナイダー主演の名作『危険なめぐり逢い』にも、ロバート・ボーンがイタリアのポルノ映画に出ている挿話があった。
さて、この本は日本でのポルノビデオの歴史を詳述したもので、当初は欧州や日活のポルノ作品のビデオ化だったのだ、撮影機器、レコーダーの革新で大きく変化する。
先日の藤浦敦氏も、ロマンポルノでビデオをやったそうだが、「機材が大きくて効率性が低いのでやめた」とのことだった。
ところが、レコーダーの低価格化とハンディー・カメラの登場で、世界が一変する。
結果として、ビデオ作品は、記録映画、ドキュメンタリーになる。さらに、ビデオの監督が、自主映画やテレビの出身だったことも、非ドラマ化を作り出した。
日活ロマンポルノやピンク映画が、どこまで行ってもドラマだったのに対して、ビデオは作者が出演者を街頭でスカウトし、部屋に連れてきて撮影に及ぶまでのドキュメンタリーになっていった。
そして、本番の「はめ撮り」にまで至る。
私も、独身時代有名な作品は見たことがあるが、なぜかビデオが好きになれなかったのは、この非ドラマ性であることがよくわかった。
岩井俊二が、学生時代の黒木薫の主演作を作っていたことがあるとの貴重な証言もある。